不動産取引における予防法務の重要性

弁護士コラム2022年6月号

(最終更新:2022年7月21日)

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 最近、不動産業界の闇に切り込む漫画『正直不動産』がドラマ化されたことにより、不動産売却時の専任媒介契約による囲い込みの問題点、不動産購入時の調査の重要性、不動産投資時の家賃保証付サブリース契約の問題点などがより世間に知れ渡ることとなったのではないかと思われます。

 弁護士のもとに個人のお客様の不動産問題が持ち込まれる場合、既にトラブルが深刻化し、往々にしてトラブルを解決するためには弁護士費用を含めて多大なコストが必要になったり、そもそも有利な形で解決することが難しかったりするケースが少なくありません。

 本来、不動産取引には多種多様な潜在的リスクがあり、リスクが顕在化した場合の損害額も多額にのぼることも少なくないため、事前に取引条件や対象物件を精査し、リスクを洗い出した上でリスクを可能なかぎり回避し又は低減することが重要となります。

 大企業や外資系企業では、法務部や社内外の弁護士が契約書などの取引に関する書類を精査し、リーガルチェックを行うことが当たり前のように行われており、それらの業務は「予防法務」と呼ばれています。

 一方で、個人のお客様にとっては「予防法務」というのはおそらく耳慣れない言葉で、なかなかトラブルが生じていない段階で弁護士に相談したり依頼したりすることは考えにくいのではないでしょうか。

 いずれにせよ、現実的に考えると個人のお客様が不動産取引の際に弁護士にリーガルチェックを依頼したり、アドバイスを求めたりすることはなかなか難しいと思います。次善の策としては、ご自身で予防法務的な観点をもって不動産取引に臨むことが考えられます。

 とりわけ不動産会社の仲介業務は一般的に顧客の利益のためではなく取引を成立させることを目的として行われること、したがって取引条件や対象物件にリスクや不利な点がないかどうかについては自分自身で徹底的に精査する必要があることを十分に認識することが重要です。

 ―――たとえば、不動産の売却であれば、複数の不動産会社に査定してもらった上で、一般媒介契約によるべきか、専任媒介契約によるべきかを吟味し、妥当な売出価格を決定する/注文住宅の建築であれば、請負契約締結時においては希望する仕様が全て契約書類に落とし込まれているかどうかを確認し、契約締結後も現場に定期的に赴き、施工管理が適切に行われているかどうかをチェックする/不動産投資であれば、さまざまなシナリオを想定し、契約条件と照らし合わせることでリスクの特定及び分析を徹底的に行う―――

 熊本セントラル法律事務所では、既にトラブルが発生してしまった場合だけではなく、未だトラブルが発生していない段階での不動産問題に関するご相談もお受けしておりますので、取引条件、対象物件などを精査した結果、ご懸念やご不安が生じた場合は、契約を締結したり、手付金を払ったりする前に、お電話(096-288-2193)又はLINEで、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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